長寿命メンテナンスの新常識!
「カバー工法」
住宅の長寿命化が注目される昨今、建物のメンテナンス方法にも変化が起きています。
中でも耐久性に優れ、最長で50年の使用が可能とされる「カバー工法」は、
長期的な視点でのメンテナンスに非常に適した選択肢です。
カバー工法とは?
カバー工法とは、現在使われている屋根材や外壁材の上に、新しい建材を重ねて施工する方法で、長く快適に住み続けたい方にとって、非常に注目される工法です。
特に脆弱素材と呼ばれるようなスレート屋根が使用されている場合や、雨漏れがしている場合は特に有効なメンテナンス方法となります。中には30年の長期保証も受けられる屋根材もあります。

カバー工法のメリット、デメリットは以下のようになります。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
耐久性 | 建材によっては最長50年の耐久性を誇るものも | 建材の価格がやや高い |
防水性 | 二重構造になるため雨漏りリスクが大幅に低減 | 重量が増えるため耐震性に注意※ |
断熱性 | 既存建材と新建材の間にできる空気層が断熱効果を発揮 | 金属屋根が基本のため選択肢が限定される |
特に旧耐震基準(1981年5月以前)で建てられた建物は、事前の耐震チェックが推奨されます。
ただし、使用する屋根材は軽量(スレートの約1/3〜1/4)なため、一般的には大きな影響はありません。
施工事例






カバー工法が適しているケース(屋根の場合)
以下のような場合には、塗装よりもカバー工法が適しています。
- 脆弱(ぜいじゃく)建材が使われている※
- 既に雨漏れしている
- 築30年以上経過している
- 屋根からの熱気が気になる
- もう屋根塗装を行いたくない方
【補足】脆弱建材について
2000~2006年頃に製造された一部のスレート瓦(例:ニチハ「パミール」、クボタ「コロニアルNEO」)は、
アスベスト規制の影響で強度が著しく低いものが存在します。こうした建材には塗装が困難なため、特に注意が必要です
どんな屋根材がオススメ?
カバー工法で用いられる屋根にはいくつか種類があります。ここでは代表的な4種類について比較を行ってみます。
アスファルトシングル | スレート瓦 | 金属屋根 | 石付金属屋根 | |
---|---|---|---|---|
重量屋根面積80㎡の場合 | ○
640~800kg |
×
1600~2400kg |
◎
400~480kg |
○
560kg |
耐久性 | ×20年後に屋根を交換する必要がある | ▲10年後に再塗装が必要 | ○25年のメーカー保証付帯している(要塗装メンテナンス) | ◎30年のメーカー保証付帯また塗装メンテナンスが一切不要 |
防水性 | ▲接着剤でシートを張り合わせしているため、剥がれた時に内部に水が浸入しやすい | ▲板が重なっている構造のため、強風等が吹いた際は瓦の内側に水が回る構造 | ◎かんごう式と呼ばれる重ね部から水が入らない構造をしているため、内側への水の侵入が起きにくい | ◎かんごう式と呼ばれる重ね部から水が入らない構造をしているため、内側への水の侵入が起きにくい |
金額屋根面積80㎡の場合 |
100万円~ |
120万円~ |
140万円~ |
160万円~ |
ご覧のように軽量・高耐久の金属屋根が最も優れているといえます。
特にカバー工法では既存の屋根の上に新しい屋根が乗るので重量が軽い屋根を選ぶことは非常に重要です。
また金額的には多少値段が高いですが、30年超の高耐久性も持ち合わせているため、
長期的なコストパフォーマンスにも優れています。
カバー工法が出来ない場合にご注意
カバー工法が出来ないケースもございます。いくつか例をあげると
- 既存の屋根が陶器瓦・セメント瓦など形状が平らでは無い屋根材を使っている場合
- 雨漏れによる下地の腐食が激しい場合
- 耐震性に不安のある場合
こうした場合は、カバー工法ではなく「葺き替え工法(屋根の交換)」を選択する必要があります。
葺き替え工事は下地交換が出来るというメリットがありますが、反面カバー工法に比べ費用が高くなり、
防水性能も落ちる事から慎重に判断する必要があります。
屋根カバー工事は高寿命の屋根メンテナンスとして注目されている工法です。
ただし、適切な素材の選定をしない場合や、現地調査不足で下地が腐食していた場合などは、
期待する耐久年数とならない場合もあるので慎重に選定しましょう。
当店では経験豊富な「外装劣化診断士」が、屋根や屋根裏の点検など隅々までチェックした上でご提案しています。
屋根カバー工事をご検討の方は、まずは一度外装劣化診断を受けられることをおすすめします。